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oranie's blog

旧:iをgに変えると・・・なんだっけ・・・

読書レビュー(一部ネタバレ):代替医療のトリック サイモン・シン


ちょっと時間を作って旅行に行きました。で、旅行に行く時には移動時間など暇なので、積本している中で1冊持って出発するというパターンが多かったのですが、これは本当に良書で移動時間を楽しく過ごせました。
目次:

  • 第I章 いかにして真実を突き止めるか
    • 壊血病、英国水兵、瀉血臨床試験/科学的根拠にもとづく医療/天才の一打
  • 第II章 鍼の真実
  • 第III章 ホメオパシーの真実
  • 第IV章 カイロプラクティックの真実
  • 第V章 ハーブ療法の真実
    • ハーブの薬学/一番大切なのは、害をなさないこと/思慮ある人たちがなぜ?/実際に経験したのだから疑いようがないという心情
  • 第VI章 真実は重要か?
  • プラセボ――罪のないささいな嘘なのか、医療として不正な嘘なのか/効果が証明されていない、または反証された医療を広めた責任者トップテン/代替医療の未来
  • 付録――代替医療便覧
  • より詳しく知りたい読者のために
  • 謝辞
  • 訳者あとがき 青木薫


代替医療・・・通常の医療で施される治療ではなく、例として「鍼」「ホメオパシー」「カイロプラクティック」「ハーブ治療」などを取り上げ、一般レベルでも浸透している代替医療が「そもそも本当に効くのか?」という点について鋭くかつ科学的にメスを入れた良書です。
細かい内容は是非読んで欲しいのですが、特に今上記の治療を行っている人や、お子様のいる家庭などは是非読んで欲しいです。何よりも自分や周りの大事な人を守る事になります。僕自身も持病やなんやかんやで今も病院に行ったり、今までに親の勧めでカイロプラクティックは受けたことがあります。なので、余計に興味深かったです。

この本が代替医療を解明しようとしたアプローチはエンジニアはもちろん、マーケティングや営業などある程度数値化して計測出来る事象を扱う人全員が持つべき姿勢:見知らぬものを頭ごなしに否定してはいけない。もし自身が新しい事を提唱した時は誰よりもその証明を公正かつ注意深く行う事、そして願望に負けること無く誤りを認める姿勢が特に勉強になりました。


誤解の無いように書いておくと、別にこの本は「科学的にメカニズムが解明されていない物は認めない。」という姿勢ではなく、むしろ「『本当に効くもの』であれば、研究してメカニズムをより深く理解して是非今の医療に取り入れるべきなのだ。むしろ『本当に効くこと』を証明しよう。」という姿勢で研究を行った結果である事をまず知った上で読んで欲しいです。頭ごなしに否定するのではなく、何よりもまず「実際に効果がある事」が重要で証明されれば良いだけなのです。メカニズム等は未来で解明すれば良い事なんです。


もちろん、「トリック」という単語が出ている通り上に挙げたような代替医療には明確な効果は認められず、良くて何も体に起こらない、下手をすると逆に健康を害し、最悪命を落とす物だと言う事です。そして、こういった物がなぜ一般人に広まったのかという事とその責任の一旦として今の医療機関、メディアなどについても厳しく言及しています。

そして、読んで知ったのですが、イギリスがこと代替医療については恐ろしい程のトンデモな考えを持っており、イギリスじゃなくて良かったと思いました。が、日本でもホメオパシー等を医療保険の対象にする政治家等が現れている事(恐ろしいことに民主党は真剣に取り入れようとしています。http://blackshadow.seesaa.net/article/127097663.html)を考えると、日本も充分トンデモ国家ですね・・・orz

代替医療のトリック

代替医療のトリック

また、この本で面白かったストーリーに「ヒーラー」と呼ばれる手をかざして治療を行う人達が、本当に効果があるかを証明した科学者の話がありました。
普通にこの手の治療って本とか雑誌とかTVで見ますよね。
で、この治療について効果があるかを証明する実験をデザインし、実際に自分自身がヒーラーと一緒に実行してその結果を論文として発表したストーリーが載っているのですが是非読んでみて欲しいです。

また、医療とは直接関係無いですが、
http://www.nazotoki.com/
特にこのコーナー。
http://www.nazotoki.com/shigen.html

もし、この本を読んでもまだ代替医療を信じたり、他人に薦めている人に対して僕の感想は、この本にも少し登場する懐疑論者ジェイムズ・ランディの言葉がピッタリです。

「もし、隣人が山羊を飼っていると言えば信じることは出来るけど、
ユニコーンを飼っていると言えばどれだけ強力に接着しているか調べたくなるだろう。」

そして大体の代替医療は強力に接着どころかそもそも角もついていなくて、「納屋にいるけど見せられない」と言い張っているレベルであるという事です。